仙台市有48施設 非常用自家発電の法定負荷試験未実施

仙台市の48の市有施設が消防法で義務付けられる非常用自家発電設備の負荷試験を実施していなかったことが13日、分かった。点検が必要な施設の7割に当たり、最悪の場合、火災による停電時にスプリンクラーなどの消火設備を動かせない恐れがある。同様の状態の建物は民間にもあるといい、法令違反を見過ごしてきた市消防局の監督責任が問われそうだ。
 延べ床面積1000平方メートル以上で不特定多数の人が利用する病院、ホテル、百貨店などは年1回、消防用設備を総合点検し、消防署に報告する義務がある。非常用電源の自家発電設備がある施設は、負荷試験が点検項目の一つになる。
 市消防局が、負荷試験が必要な66の市有施設のうち、新築を除く65施設の報告書類を調べたところ、折立市民センターや市中央卸売市場など48施設は試験自体を行わないか、発電設備のエンジンをかけただけだった。
 報告書類は点検票の確認欄に斜線を引いたり、「無負荷」と書いたりして済ませていた。確実に試験したのは9施設にとどまった。
 市消防局の高橋正裕予防課長は「消防用設備の点検項目は多岐にわたる。提出者を信頼し、詳しい内容は見ていなかった」と話す。
 年1回の負荷試験が必要な民間の施設は市内に約780カ所あり、高橋課長は「この中にも未実施がある」と指摘。施設数などは把握していないという。
 総務省消防庁は昨年12月、消防用設備の点検報告について、具体的な内容を確認し、不備や違反の是正を進めるよう各自治体に通知。市消防局は6月、66施設の管理者らに、適切に指導していく方針を伝えた。
 負荷試験業者の日本エナジーカンパニー(若林区)の阿部紀雄社長は「本年度に受注した病院やホテルの大半が、負荷試験が法律上の義務と知らなかった。試験をしなくても消防への報告が受理されるなら周知が進まないのは当然。消防の責任は大きい」と話した。

[負荷試験]自家発電設備のエンジンをかけて回転数を上げ、発電能力の30%を目安に発電機を回す試験。電流・電圧を確認する方法として、火災報知機などを作動させる「実負荷」、点検装置を使う「疑似負荷」の2種類がある。異常な振動や発熱の有無を確認するほか、エンジン内に残る燃料やすすを除く狙いもある。

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