【担当者必見】非常用発電機の点検義務を完全ガイド|消防法・電気事業法・建築基準法の違いと罰則を解説

施設の防災管理者や設備担当者として、非常用発電機の管理を担当されていることと思います。
消防署の査察が近づいてきたり、年間の管理計画を立てたりする中で、こんな疑問や不安を感じていませんか。

  • 「点検義務があるのは知っているが、どの法律に基づいて何をすれば良いのか分からない」
  • 「消防法と電気事業法、うちの施設にはどちらが適用されるのだろうか」
  • 「万が一の災害時に本当に動くのか、点検内容が十分か不安だ」

非常用発電機の点検は、複数の法律が関わるため、全体像を把握しにくいのが実情です。
しかし、ご安心ください。
この記事では、複雑な点検義務を法律ごとに整理し、具体的に何をすべきかを分かりやすく解説します。

結論:非常用発電機の定期点検は法律で定められた「義務」です

まず最も重要な結論からお伝えします。
非常用発電機の定期的な点検は、任意ではなく、法律によって明確に定められた「義務」です。

なぜなら、非常用発電機は次の2つの重要な役割を担っているからです。

  1. 人命の安全確保:火災時にスプリンクラーや非常用照明を動かし、安全な避難を助けます。
  2. 事業継続計画(BCP):停電時に事業活動に必要な電力を供給し、社会インフラを維持します。

これらの重要な役割を確実に果たすため、国は複数の法律で厳格な点検を義務付けているのです。

【法律別】あなたの施設はどれ?3つの法律に基づく点検義務の対象と内容

非常用発電機の点検義務は、主に「消防法」「電気事業法」「建築基準法」の3つの法律に基づいています。
それぞれの法律は、異なる目的と視点から点検を求めています。
まずは、ご自身の施設がどの法律の対象となるのかを確認することが第一歩です。

法令名 目的のポイント
消防法 火災時に消防設備を確実に動かし、人命を守ること
電気事業法 感電や火災などの電気事故を防ぐこと
建築基準法 建物の一部として安全な状態を維持すること

以下で、それぞれの法律が定める点検内容を詳しく見ていきましょう。

① 消防法:火災時の人命救助が目的(ほとんどの施設が対象)

消防法は、火災発生時にスプリンクラーや自動火災報知設備といった消防用設備が確実に作動することを目的にしています。
非常用発電機は、これらの設備の「命綱」となる電源であるため、最も厳しく点検が義務付けられています。
多くのビルや商業施設、病院などがこの法律の対象となります。

対象となる建物の例

  • 劇場、百貨店、旅館、病院など不特定多数の人が利用する「特定防火対象物」
  • 工場や事務所などで、延べ面積が 1,000 平方メートル以上のもの

消防法では、主に2種類の点検が義務付けられています。

点検の種類 頻度 主な点検内容
機器点検 6ヶ月に1回 ・外観や機能の確認
・無負荷での短時間運転
総合点検 1年に1回 ・機器点検の項目
負荷試験または内部観察等

特に重要なのが、総合点検に含まれる「負荷試験」です。
これは、実際に負荷をかけて発電機が性能を発揮できるかを確認する試験で、原則として定格出力の 30% 以上の負荷をかける必要があります。
ただし、予防的な保全策を適切に実施している場合は、この負荷試験の周期を6年に1回に延長することが可能です。

② 電気事業法:電気事故の防止が目的(自家用電気工作物が対象)

電気事業法は、感電や漏電による火災といった電気事故を防ぎ、公共の安全を確保することを目的としています。
出力が 10 kW 以上の非常用発電機は「自家用電気工作物」に該当し、この法律の規制対象となります。

この法律の大きな特徴は、電気の専門家である「電気主任技術者」を選任し、その監督のもとで保安管理を行う点です。
点検は、事業者が定めた「保安規程」に基づいて実施されます。

点検の種類 頻度 主な点検項目例
月次点検 1ヶ月に1回 ・運転時の電圧、周波数の確認
・異音、異常振動、発熱の有無
年次点検 1年に1回 ・絶縁抵抗測定
・接地抵抗測定
・各部品の劣化・損傷確認

電気事業法に基づく点検は、消防法とは異なり、あくまで電気設備としての安全性を維持するためのものです。

③ 建築基準法:建物の安全確保が目的(特定建築物が対象)

建築基準法は、建物の構造や設備を安全な状態に保つことを目的としています。
非常用発電機も建築設備の一部とみなされ、定期的な検査が義務付けられています。
これは一般的に「12条点検」と呼ばれています。

対象となるのは、国や特定行政庁が指定する「特定建築物」(不特定多数が利用する映画館やホテルなど)です。
点検周期はおおむね6ヶ月から1年ごとで、発電機本体だけでなく、その設置環境も重要なチェックポイントとなります。

主な点検対象箇所 確認内容の例
発電機室 換気や排煙が適切に行えるか
排気ダクト・排気口 詰まりや腐食、損傷がないか
燃料タンク・配管 燃料漏れや錆がないか
騒音・振動 規定値を超えていないか

建築基準法では、発電機が建物の一部として安全に機能し続けるための環境が整っているか、という視点で点検が行われます。

【一覧表】消防法・電気事業法・建築基準法の違いを比較!担当者が押さえるべきポイント

ここまで解説した3つの法律の違いを一覧表にまとめました。
ご自身の施設にどの法律が適用され、何をすべきなのかを整理するためにご活用ください。

比較項目 消防法 電気事業法 建築基準法
目的 火災時の人命・財産保護 電気事故の防止、公共の安全確保 建築物・設備の安全性確保
対象 消防用設備等を備える防火対象物 出力 10 kW 以上の自家用電気工作物 特定行政庁が指定する特定建築物
点検周期 機器点検: 6ヶ月ごと
総合点検: 1年ごと
月次点検: 1ヶ月ごと
年次点検: 1年ごと
6ヶ月~1年ごと
報告先 所轄の消防長または消防署長 (保安規程に基づき記録・保管) 特定行政庁
主な点検資格者 消防設備士
消防設備点検資格者
電気主任技術者
電気管理技術者
一級・二級建築士
建築設備検査員
主な罰則 30万円以下の罰金または拘留 100万円以下の罰金 100万円以下の罰金

点検を怠った場合のリスクとは?罰則金と「動かない」という最悪の事態

法定点検を怠った場合、法律に基づく罰則が科される可能性があります。
罰金も決して軽微なものではありませんが、それ以上に深刻なリスクが存在します。

法令名 主な罰則内容
消防法 30万円以下の罰金または拘留(法人にも両罰規定あり)
電気事業法 100万円以下の罰金(法人にも両罰規定あり)、電源使用停止命令
建築基準法 100万円以下の罰金(法人にも両罰規定あり)

最も恐ろしいリスクは、罰則そのものではありません。
それは、いざという時に「非常用発電機が動かない」という事態です。
この事態は、人命に関わる重大な事故や、事業の停止といった計り知れない損害に直結します。

適切な点検は、管理者としての法的・社会的責任を果たす上で不可欠なのです。

【2026年〜】担当者が知っておくべき法改正のポイント

最後に、今後の動向として担当者が知っておくべき重要な法改正を2つご紹介します。
これらの改正は、発電機の運用や関連工事に影響を与える可能性がありますので、早めに情報を収集し、備えておくことが重要です。

改正のポイント 概要と事業者への影響 施行時期
10kW以上の可搬型発電機の自家用電気工作物化 イベント等で使われる大型の可搬型発電機も、電気事業法の規制対象となります。
電気主任技術者の選任や保安規程の届出が必要になる場合があります。
2026年1月(予定)
工作物のアスベスト事前調査の義務化 発電設備の解体・改修工事の際、アスベスト含有の有無を事前に調査することが義務化されます。
有資格者による調査が必要となり、調査・除去費用が発生する可能性があります。
2026年1月1日

これらの法改正は、コストや手続きの増加につながる可能性があります。
自社の設備が対象となるかを確認し、計画的に対応を進めましょう。

まとめ:確実な点検で法令遵守と事業継続を実現しよう

非常用発電機の点検義務は、消防法、電気事業法、建築基準法という3つの法律によって定められています。
これらの法律はそれぞれ異なる目的を持っていますが、すべては「安全」を確保するために存在します。
点検を単なるコストと捉えるのではなく、人命と事業を守るための重要な「投資」と考えることが大切です。

この記事を参考に、まずは以下のステップから始めてみてはいかがでしょうか。

  • 自社の施設に適用される法律を一覧表で再確認する
  • 現在の点検計画が、法律の求める周期と内容を満たしているかチェックする
  • 不明な点があれば、消防設備点検業者や電気保安法人などの専門家へ相談する

確実な点検を実施することで、法令を遵守し、万が一の事態に備えましょう。

お問い合わせ

株式会社東京エナジーカンパニー

【本社】
〒245-0009
神奈川県横浜市泉区新橋町249 越水B棟1-2
045-812-3616
FAX 045-812-3373

専門知識・技能保守者が責任持って業務に当たります

・消防設備士資格保有者
・第一種消防設備点検資格者
・自家用発電設備専門技術者